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強度って本当のところ何?

画像 この画像は試験サンプルを引っ張り試験にかける前と後の様子を示しています。

引っ張り試験で分かること

この記事では工業材料の強度についてお話します。材料の強さはどう決まり、どう測るのでしょうか? まずは降伏強度極限強度の違いについて見てみましょう。 どちらも、歪みにくさや壊れにくさを示すものです。

定義:

ある定められた条件のもとで材料が示す抵抗の限界をさし,通常は応力の値をもって比較する。

材料の強度を測るには、上の写真にあるようなロッドを使用し、両側から引っ張る試験 (引っ張り試験) をします。 ロッドはまずバネのように伸びながら変形します。 この時点では引っ張るのを止めれば、ロッドは前の状態に戻りますが、これを「弾性変形」と言います。 さらに引っ張り続けると、ある時点で金属は「降伏」し、引っ張るのを止めても、 元に戻らず永久的な変形が起こりますが (ココが降伏強度)、これを塑性変形と言います。 これ以降は引っ張るのを止めても、材料は元の状態には戻らず、 さらに引っ張り続けると、極限的に材料は破断します(ココが極限強度)。

つまり以下の 2 つは、金属の強さの限界点ということになります:

  • 降伏強度
  • 極限強度

例: 一般構造用鋼材

それでは一般構造用鋼材を例にとって見てみましょう (JIS SS490、S355)。 荷重による変形の推移が下の図表 (応力-ひずみ曲線に示されており(図をクリックすると拡大)、 荷重 (応力) が縦軸に、変形 (ひずみ) が横軸になっています。

応力-ひずみ曲線

インターネット上にあるほとんどの応力ひずみ曲線の図表は模式的なものですが、 上記のが図表は実際の測定値を基に示しています。 実際の測定値を見ると、面白いことに材料が伸びている段階 (ほとんど直線のように上昇している部分) は、時間的に非常に短いことが分かります。 これは 延性金属の顕著な特徴です。

降伏強度と極限強度の違いは?

両者の違いを知っておくことが大切です:

降伏強度:

降伏強度とは、材料が伸びながら変形する弾性変形と、永久的に変形する塑性変形の境界を指します。 降伏強度を超えて引っ張ると、この塑性変形 (破損) が起きます。 降伏強度以下の力を掛けても、金属はバネのように伸びるだけで、損傷は起きないのです。

極限強度:

降伏強度を超えてさらに力をかけると、材料は塑性変形を起こしながらしばらくの間、硬さを増します。 これは加工硬化と呼ばれる現象です。 さらに力をかけ続けると破損や破断が起こりますが、極限強度は、それまでの最も高い荷重を指します。

降伏強度と極限強度の違いは、重さが掛かっている梁 (はり) などを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。 降伏強度以下では、力を掛けても梁はたわみますが変形が起こることはありません。 さらに重さをかけると、梁は曲がってしまいますが、重さが極限強度を超えるまでは壊れることはありません。 しかし極限強度を超えると、梁は急速に破損してしまいます。

では、強度はどのように測るのでしょうか?

ある材料の強度試験をする場合、下の写真にあるようなその材料のサンプル材を使用します。

ビフォー: 引っ張り試験サンプル
アフター:

サンプルが破断するまで荷重をかけて引っ張り試験をします。 試験の間、荷重と変形を記録し、結果をページの上にあるような応力ひずみ曲線に表します。

当社では実際に 10 秒間の引っ張り試験を行いました。その様子をぜひ動画でご覧ください。

まとめ

金属の強度を知っておくのは大切です。 硬化加工をしていない構造用鋼材と高強度鋼材では、強さが 10 倍も違うこともあるのです。 工具に使われている鋼材も、メーカーや製品によって大きく違うため、作業目的によってきちんと強度を選ぶことがとても大切なのです。

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